「ママのひとやすみ」が生まれたきっかけ
――まずは、「ママのひとやすみ」の具体的な取り組みについて教えてください。
月に1回、夜10時から翌朝6時までの時間帯にレンタルスペースをお借りして、場所を無料開放します。
そこにはボランティアスタッフとして、子育て経験者をはじめ、保育士や助産師などの有資格者の方々が常駐しています。基本的には0歳児の赤ちゃんとそのお母さんを対象にしていて、お母さんにはただボーッと過ごしてもらったり、スタッフに育児の悩みや愚痴をこぼしてもらったり。あるいは赤ちゃんを見てもらっている間に少し仮眠をとったりと、自由な用途で使っていただける場所を目指しています。
――夜10時から朝6時まで、予約不要・利用料無料というのはお母さんにとって本当にありがたい環境ですね。この活動を立ち上げようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
今年の6月下旬ごろ、たまたま見たYahoo!ニュースで、東京で「夜泣き支援」をされている方の記事を目にしたんです。私自身、それまで「夜泣き支援」という存在自体を知りませんでした。
私の子供は比較的よく寝る子だったので、日常的に夜泣きで追い詰められることは少なかったのですが、周りの友達の話を聞いて「これが毎日続いたら本当にしんどいな」「あの時にこういう場所があったら、あの子も頼れたのかな」という思いが頭に浮かんで。
記事を見て「自分もボランティアとして参加したい!」と思ったのですが、東京は遠い。でも関西にはそういった場所が見当たらない。「ないなら自分で作ってしまおう!」と思い立ったのが始まりでした。
走りながら考える。行動力を支える想い
――ニュースを見てから立ち上げるまでのスピード感が本当にすごいですね!
よく「行動力があるね」と言っていただけるのですが、良くも悪くも突き進んでいく性格なんです。完璧な準備が整うのを待っていたら、いつまで経っても始まらない。「今必要とされていることなんだから、走りながら考えよう」と。
SNSで「こういう場所を作ります」と宣言してしまえば、後に引けなくなりますよね。自分にプレッシャーをかける意味でも、まずは発信からスタートしました。
――ボランティアスタッフの皆さんは、どのように集まられたのですか?
私からお声をかけた方は一人もいなくて、発信を見た方々から「参加したいです!」と個別にダイレクトメッセージをいただきました。
もちろん誰でもいいというわけではないので、一人ひとりとオンラインでお話しさせていただいた上でご協力いただいています。保育士さんや助産師さんなど、想いを持ったプロの方々が「こういう場所を作ってみたかった」と手を挙げてくださり、場所を作ることの大切さを実感しました。第一回目の開催(高槻市のアトリエスマイルさん)には、私を含めて5名のスタッフで臨みます。
目指すのは「困ったらあそこに行けばいいや」と思える頼れる場所
――この場所を、お母さんたちにとってどんな存在にしていきたいですか?
私は、この取り組みが産後うつの予防に直結すると信じています。今は月1回の開催ですが、ゆくゆくは月2回などに増やしていきたいですね。
毎日通えるわけではないけれど、「この日に行けば預けて寝られる」「みんなに話を聞いてもらえる」という目標があるだけで、日々の育児を頑張れることってあると思うんです。たとえその日に来られなかったとしても、「困ったらあそこに行けばいいや」と思える頼れる場所にしていきたいです。
――茨木市など、各地へ拠点を広げていく構想もあるとお聞きしました。
はい。私自身、現在は正社員として働きながら運営していますが、とおくから高槻まで来てもらうのは現実的ではありません。どこに住んでいても、行ける範囲にこういった場所がある状態を作りたいんです。
そのため、近々法人化の手続きを進める予定です。次回の候補地として茨木市でも場所が確保できそうなので、条件が整い次第、順次拠点を増やしていきたいと考えています。
地域・企業との繋がりで持続可能な支援へ
――利用料を無料に保ち続けるため、今後はどのような支援や連携を求めていますか?
お母さんたちから利用料をいただく形にはしたくないので、助成金やクラウドファンディングのほか、地元の企業様との連携を模索しています。
例えば、企業の福祉・福利厚生の一環として、育休中の社員さんが利用できるようにご協賛いただいたり、地域貢献の一環としてサポートしてくださる地元の企業様・事業者様と繋がれたらとても心強いです。まずは活動実績をつくりながら、共感していただけるパートナーを増やしていきたいと思っています。
今、夜の孤独に悩むお母さんたちへ
――最後に、日々育児に奮闘しているお母さんたちへメッセージをお願いします。
夜泣きに悩んでいる方はもちろん、「ただ誰かと話したい」「息抜きがしたい」という理由でも大歓迎です。同じような悩みを抱える人と話すだけで、気持ちがフッと軽くなることもあります。
寝不足は、ただ眠いだけではなく、人の性格や心を変えてしまうほど追い詰めてしまうものです。SNSなどで育児について一生懸命調べるようなお母さんは、それだけで十分すぎるほど頑張っています。
時には周囲やこうした場所を頼って、肩の力を抜いてみてください。当日は荷物も準備も完璧じゃなくて大丈夫です。手ぶらでフラッと来てくださいね。スタッフみんなで待っています!
【記事作成者より(取材を終えて)】
「頼れる場所がある」という安心感が、どれほど多くのママの救いになるか。自身も仕事と育児を両立させながら、圧倒的な熱量とスピード感で行動を起こす姿に、地域の子育ての未来を明るく照らす光を感じました。「ママのひとやすみ」が、多くのママにとって温かい居場所となりますように。
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